遺言執行者と、その指定
遺言執行者とは、『遺言の内容を実現する者』のことです。
遺言執行者には、「未成年」「破産者」以外でしたら誰でも就任することができます。
ですから、相続人の中から指定することもできます。
ただし、その場合には「遺言執行者である相続人」と「その他の相続人」とで利害が対立することがあるため、第三者に依頼することをお勧めします。
遺言執行者を指定する方法と、相続人の対応。
遺言執行者を指定する方法は、3通りあります。
①遺言で、特定の者を遺言執行者に指定する。
②遺言で、遺言執行者の指定を第三者に委託する。
③遺言で、①および②がなされていない場合に、相続人が家庭裁判所に遺言執行者の選任を申立てる。
相続人の対応は…、
①の場合、遺言執行者に指定された者へ、相当期間を定めて遺言執行者に就任するか否かを確認します。
②の場合、遺言執行者の指定を委託された者へ、遺言執行者の指定を委託します。
③の場合、家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申立てます。
家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申立てた場合、選任されるまで『約1ヶ月』の期間を要します。
遺言執行者の必要性と、そのメリット
遺言執行者の必要性
遺言の執行は、原則として相続人や受遺者自身が行うことができ、必ずしも遺言執行者を指定しなければならないわけではありません。
ただし、次の場合には遺言執行者を選任しなければなりません。
遺言執行者を選任するメリット
①相続手続は、平日の日中に行うものが多く、また手続きが煩雑なものも多いため、ご遺族の負担を軽減することができます。
②相続人の間で利益が相反する内容で、相続人全員の協力が得られない場合であっても、第三者の立場から、遺言の内容を忠実、かつ、公平に実行できます。
特に、お客様が事業主で、その事業を特定の相続人に承継したい場合には、その株式をどのように相続させるかで、会社の経営に影響を及ぼす可能性があります。
遺言執行者就任後の職務
①相続人・受遺者に対し、遺言執行者に就任した旨の通知と併せ、遺言書の写しを送付する。
②遺産の調査を行い、財産目録を作成し、相続人全員に交付する。
③遺言書に「子の認知」がある場合には、就任後10日以内に市町村役場へ届出を行う。
④遺言書に「相続の廃除」や「廃除の取消し」がある場合には、家庭裁判所へ必要な手続きを行う。
⑤受遺者に対して、遺贈を受けるか否かを確認する。
⑥遺言書の内容に基づき、「不動産の名義変更」「預貯金の解約・払戻し」その他遺言の執行に必要な一切の行為をする。
⑦すべての手続が終了後、相続人・受遺者に業務終了の通知を行う。